年金での一人暮らしを考えたとき、「手取りがいくらになるのか」「税金の負担はどのくらいか」といったお金の不安はつきものです。特に、毎日の生活に直結する住民税が非課税になれば、暮らしに大きなゆとりが生まれます。この記事では、住民税非課税で年金一人暮らしを実現する条件について、一人暮らしで住民税が非課税になる年収はいくらなのか、具体的に年金は独身でいくらまでなら非課税かという疑問に答えていきます。
住民税非課税世帯の条件と年収の目安を基本から理解し、年金生活の住民税非課税世帯になるにはどうすれば良いのか、そして年金だけで暮らす非課税世帯の条件とは何かを明らかにします。
さらに、事例別!住民税非課税の年金一人暮らしガイドとして、年金とパート収入がある場合の住民税非課税の計算方法や、65歳以上で年金と給与収入がある場合の注意点も解説します。また、障害者の場合の住民税非課税と年金の関係、遺族年金受給者の住民税非課税についての知識、夫婦世帯の年金と211万円の壁とはどう違うのか、といった多様なケースにも対応します。
この記事を最後まで読めば、あなたが非課税世帯に該当するかの判断基準や、住民税非課税で年金一人暮らしのポイントが明確になり、将来の生活設計に役立つ知識が得られます。
- 一人暮らしで住民税が非課税になる年金の年収額がわかる
- パートや給与収入がある場合の非課税条件を理解できる
- 障害者や遺族年金など特別なケースでの扱いが明確になる
- 非課税世帯になることで受けられる優遇措置を知ることができる
住民税非課税で年金一人暮らしを実現する条件

- 住民税非課税世帯の条件と年収の目安
- 年金生活の住民税非課税世帯になるには
- 一人暮らしで住民税が非課税になる年収
- 年金は独身でいくらまでなら非課税か
- 年金だけで暮らす非課税世帯の条件とは
住民税非課税世帯の条件と年収の目安
住民税が非課税になる世帯とは、世帯に属する全員の住民税が課税されない世帯を指します。住民税には、所得にかかわらず一定額を負担する「均等割」と、前年の所得に応じて負担額が変わる「所得割」の2種類があり、住民税非課税世帯になるには、この両方が非課税になる必要があります。
非課税になるための条件は、お住まいの自治体によって多少異なります。これは、生活保護制度における「級地区分」に基づいており、物価が高い大都市(1級地)ほど非課税となる所得の上限額が少し高く設定されています。
#### 非課税の具体的な条件(東京23区の場合)
例えば、東京23区(1級地)の場合、以下のいずれかに該当すると均等割・所得割ともに非課税となります。
- 生活保護を受けている方
- 障害者・未成年者・寡婦またはひとり親で、前年の合計所得金額が135万円以下の方
- 前年の合計所得金額が、以下の金額以下の方
- 扶養親族がいない場合(単身者):45万円以下
- 扶養親族がいる場合:35万円 ×(本人+扶養親族の人数)+ 31万円以下
年金生活の一人暮らしの場合、主に3番目の「合計所得金額が45万円以下」という条件が関わってきます。
#### 年収の目安
では、合計所得金額が45万円以下とは、年収にするといくらになるのでしょうか。これは収入の種類によって変わります。
- パートやアルバイトの給与収入のみの場合:年収100万円以下 (給与所得控除55万円を差し引くと所得が45万円になるため)
- 65歳以上で公的年金収入のみの場合:年収155万円以下 (公的年金等控除110万円を差し引くと所得が45万円になるため)
このように、住民税非課税世帯になるための条件は、所得の種類や家族構成、お住まいの地域によって定められています。
年金生活の住民税非課税世帯になるには

年金収入は、税法上「雑所得」として扱われ、原則として課税対象となります。しかし、年金受給者の生活に配慮し、「公的年金等控除」という特別な控除が設けられているため、年金収入の全額がそのまま所得になるわけではありません。
この公的年金等控除の額が、住民税非課税世帯になれるかどうかを判断する上で大切な鍵となります。控除額は受給者の年齢によって異なり、65歳以上の場合は手厚くなっています。
#### 年齢別の公的年金等控除額
| 年齢 | 公的年金等の収入金額 | 公的年金等控除額 |
|---|---|---|
| 65歳未満 | 130万円未満 | 60万円 |
| 65歳以上 | 330万円未満 | 110万円 |
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(公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が1,000万円以下の場合)
表からも分かる通り、65歳以上の方は最低でも110万円の控除が受けられます。つまり、年金収入が110万円までであれば、年金に関する所得は0円として計算されます。
したがって、他に所得がなく、65歳以上で年金収入が110万円以下の方は、所得が0円となるため、住民税非課税の条件を満たすことになります。年金収入がこれを超える場合でも、控除を差し引いた後の所得が非課税限度額(単身者の場合は45万円)以下であれば、住民税はかかりません。
一人暮らしで住民税が非課税になる年収
65歳以上で一人暮らしの方が住民税非課税になる年収のボーダーラインは、一般的に「155万円」と言われます。これは「155万円の壁」とも呼ばれ、多くの自治体で基準となる金額です。
なぜ155万円が基準になるのか、その計算の内訳を理解することが大切です。
計算の根拠は、前述の「公的年金等控除」と「住民税の非課税限度額」の2つを組み合わせることで明らかになります。
#### 「155万円の壁」の計算式
- 公的年金等控除額の確認 65歳以上の方の公的年金等控除額は、最低110万円です。
- 住民税非課税の所得限度額の確認 一人暮らし(単身者)の場合、住民税が非課税になる合計所得金額の上限は45万円です(多くの1級地の場合)。
- 合計 この2つの金額を足し合わせます。 110万円(公的年金等控除) + 45万円(非課税限度額) = 155万円
この計算から、年金収入が155万円であれば、そこから公的年金等控除110万円を差し引いた後の所得が45万円となり、住民税の非課税基準内に収まることが分かります。
以上のことから、65歳以上の一人暮らしの方にとって、年金収入「155万円」が住民税課税・非課税を分ける一つの大きな目安になると言えます。
年金は独身でいくらまでなら非課税か
「住民税」と並んで気になるのが「所得税」です。年金収入がいくらまでなら税金がかからないのかを考える際には、この2つの税金を区別して理解する必要があります。
前述の通り、住民税が非課税になる年金収入の目安は、65歳以上・独身(一人暮らし)の場合で155万円です。
一方、所得税が非課税になる基準は、住民税とは少し異なります。所得税の場合、年金収入が「158万円」以下であれば課税されません。
#### 所得税が158万円以下で非課税になる理由
所得税の計算では、住民税と同様に「公的年金等控除(110万円)」が適用されます。それに加えて、すべての納税者に適用される「基礎控除」の額が住民税と所得税で異なるため、非課税のラインに違いが生まれます。
- 住民税の基礎控除額:43万円
- 所得税の基礎控除額:48万円
所得税の計算式に当てはめてみましょう。
年金収入158万円 – 公的年金等控除110万円 – 基礎控除48万円 = 所得0円
このように、所得税は基礎控除額が大きいため、住民税よりも非課税となる年収の上限が3万円高くなります。
まとめると、65歳以上の独身の方の場合、以下のようになります。
| 税の種類 | 非課税となる年金収入の上限額 |
|---|---|
| 住民税 | 155万円 以下 |
| 所得税 | 158万円 以下 |
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年金収入が155万円を超えて158万円以下の範囲にある方は、所得税はかかりませんが、住民税は課税されるという状況になります。
年金だけで暮らす非課税世帯の条件とは
これまでの情報を整理すると、年金収入だけで生活する一人暮らしの方が住民税非課税世帯になるための条件は、主に「年齢」「年金収入額」「お住まいの地域」の3つの要素によって決まります。
#### 年齢による条件の違い
最も大きな要素は年齢です。公的年金等控除額が65歳を境に大きく変わるため、非課税となる年収の上限も変動します。
- 65歳未満の場合:年金収入105万円以下が目安 (計算式:公的年金等控除60万円 + 非課税限度所得45万円)
- 65歳以上の場合:年金収入155万円以下が目安 (計算式:公的年金等控除110万円 + 非課税限度所得45万円)
#### お住まいの地域による条件の違い

次に重要なのが、お住まいの自治体がどの「級地区分」に属するかです。級地区分は1級地(大都市)・2級地(中都市)・3級地(その他)に分かれており、非課税となる所得限度額が異なります。
| 級地区分 | 65歳以上・単身者の非課税年収目安 |
|---|---|
| 1級地 | 155万円 |
| 2級地 | 約152万円(自治体による) |
| 3級地 | 148万円 |
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「155万円」という基準は、あくまで物価の高い大都市圏(1級地)のものです。ご自身がお住まいの市町村がどの区分に該当し、非課税限度額がいくらなのかを正確に知るためには、市町村のウェブサイトや税務課の窓口で確認することが不可欠です。
#### 注意点:非課税でも負担が必要なもの
住民税非課税世帯になると、税金の負担はなくなりますが、社会保険料(国民健康保険料や介護保険料)の支払いが完全になくなるわけではない点には注意が必要です。
ただし、住民税非課税世帯は、これらの社会保険料についても軽減措置が適用されるため、課税世帯に比べて負担は軽くなります。
事例別!住民税非課税の年金一人暮らしガイド

- 年金とパート収入がある場合の住民税非課税
- 65歳以上で年金と給与収入がある場合
- 障害者の場合の住民税非課税と年金
- 遺族年金受給者の住民税非課税について
- 夫婦世帯の年金と211万円の壁とは
年金とパート収入がある場合の住民税非課税
年金を受給しながら、パートやアルバイトで収入を得ている方も多いでしょう。この場合、住民税が非課税になるかどうかは、「年金から計算した所得」と「パート収入から計算した所得」の合計額で判断されます。
具体的には、それぞれの収入から対応する控除額を差し引いて所得を算出し、その合計が非課税限度額(単身者の場合は45万円)以下に収まるかどうかを確認します。
#### 所得の計算方法
- 年金の所得 = 年金収入額 − 公的年金等控除額
- パートの所得 = パート収入額 − 給与所得控除額(最低55万円)
この2つの所得の合計が、45万円以下であれば住民税は非課税となります。
#### 具体的なシミュレーション
例えば、65歳以上で一人暮らしの方が、年金収入120万円を受給しているケースを考えてみましょう。
- 年金の所得を計算 120万円(年金収入) − 110万円(公的年金等控除) = 10万円(年金の所得)
- パート所得の上限を計算 45万円(非課税限度額) − 10万円(年金の所得) = 35万円 この方のパート所得が35万円以下であれば、合計所得が45万円以下に収まります。
- パート収入の上限を計算 パート所得35万円は、給与収入に換算するといくらになるでしょうか。 35万円(パート所得) + 55万円(給与所得控除) = 90万円
この計算から、年金収入が120万円ある方は、パート収入を年間90万円以下に抑えることで、住民税非課税の条件を満たせることが分かります。年金収入額によってパートで働ける上限額が変わるため、ご自身の状況に合わせた計算が大切です。
65歳以上で年金と給与収入がある場合
前述の通り、65歳以上で年金収入と給与収入の両方がある場合、それぞれの所得を合算して住民税が課税されるか判断されます。
このケースで特に知っておきたいのが「所得金額調整控除」という制度です。これは、特定の条件を満たす場合に、給与所得の金額から最大10万円を控除できる仕組みで、税負担の軽減につながります。
#### 所得金額調整控除の適用要件
以下の両方に該当する方が対象となります。
- 給与収入と公的年金等の収入の両方がある
- 給与所得と公的年金等に係る雑所得の合計額が10万円を超える
この控除は、給与所得の金額から差し引かれます。計算式は少し複雑ですが、「(給与所得(上限10万円)+公的年金等に係る雑所得(上限10万円))−10万円」で算出された金額が控除されます。
#### 制度活用のポイント
年金と給与の両方がある方は、この制度の対象になるかを確認することが重要です。特に、給与収入と年金収入の合計が非課税限度額をわずかに超えてしまうような場合に、この控除を適用することで住民税非課税の範囲内に収まる可能性があります。
確定申告や年末調整の際に適用を受ける制度ですが、ご自身が対象になるか不明な場合は、税務署やお住まいの市町村の税務課に相談してみると良いでしょう。
障害者の場合の住民税非課税と年金
障害のある方については、税制上の負担を軽減するための特別な措置が設けられています。これにより、住民税が非課税となる条件が通常の場合よりも緩和されます。
まず、大前提として障害基礎年金や障害厚生年金といった「障害年金」は、所得税も住民税もかからない非課税収入です。したがって、これから説明する所得の計算には、障害年金の額は一切含める必要がありません。
#### 障害者の非課税措置
障害者手帳をお持ちの方などが住民税非課税となる条件は、以下の通りです。
前年の合計所得金額が135万円以下であること
これは、通常の一人暮らしの方の非課税限度額「45万円」と比べて、大幅に基準が緩和されていることが分かります。
もし収入が給与のみであれば、年収204万4,000円未満の方がこの条件に該当します。
#### 老齢年金と合わせて受給している場合
障害年金とは別に、ご自身の老齢年金(老齢基礎年金や老齢厚生年金)も受給している場合は、この老齢年金の所得を計算し、135万円の基準と比較します。
例えば、65歳以上で障害者手帳をお持ちの方が、老齢年金を240万円受給しているとします。(障害年金は計算に含めません)
- 老齢年金の所得:240万円(収入) − 110万円(公的年金等控除) = 130万円
この場合、所得は130万円となり、135万円以下の基準を満たすため、住民税は非課税となります。通常であれば所得が45万円を超えているため課税されますが、障害者非課税の特例が適用されることで税負担がなくなります。
遺族年金受給者の住民税非課税について
遺族年金(遺族基礎年金や遺族厚生年金)も、前述の障害年金と同様に、税法上、課税の対象とならない「非課税所得」として扱われます。
したがって、収入が遺族年金のみである場合は、所得が0円として計算されるため、自動的に住民税非課税世帯に該当します。この場合、年金額の多少にかかわらず住民税が課されることはありません。
#### 他の所得がある場合の注意点
もし遺族年金のほかに、ご自身の老齢年金やパート収入など、課税対象となる所得がある場合は、その所得の合計額によって住民税が課税されるかが決まります。
例えば、遺族年金を受給しながら、ご自身の老齢年金を年間120万円受給している一人暮らしの方(65歳以上)のケースを考えてみましょう。
- 遺族年金:非課税なので所得計算には含めません。
- 老齢年金の所得:120万円(収入) − 110万円(公的年金等控除) = 10万円
この方の合計所得金額は10万円となります。これは、一人暮らしの方の住民税非課税限度額である45万円を下回っているため、住民税は非課税となります。
このように、遺族年金自体は非課税ですが、他に課税対象の所得がある場合は、その所得額が非課税の範囲内に収まるかどうかを確認する必要があります。
夫婦世帯の年金と211万円の壁とは
この記事では一人暮らしのケースを中心に解説してきましたが、比較のために夫婦世帯の基準についても触れておきます。特に65歳以上の夫婦世帯では「211万円の壁」という言葉を耳にすることがあります。
これは、世帯主と配偶者の2人暮らしで、世帯主の年金収入が211万円以下であれば、住民税非課税になるという基準です(1級地の場合)。
#### なぜ211万円になるのか
一人暮らしの「155万円の壁」と考え方は同じですが、扶養親族(この場合は配偶者)がいるため、非課税限度額の計算式が変わります。
- 非課税限度額の計算(扶養親族1人の場合) 35万円 × 2人(本人+配偶者)+ 31万円 = 101万円
- 年金収入に換算 101万円(非課税限度額) + 110万円(公的年金等控除) = 211万円
この計算により「211万円の壁」が導き出されます。
#### 一人暮らしとの重要な違い

夫婦世帯が住民税非課税世帯になるためには、非常に重要な注意点があります。それは、「世帯全員が非課税」である必要があるという点です。
つまり、世帯主の年金収入が211万円以下であっても、配偶者に一定以上の収入(年金収入であれば155万円超)があると、配偶者自身が課税対象者となってしまいます。その結果、世帯としては住民税非課税世帯にはなれません。
したがって、「211万円の壁」は、あくまで世帯主の基準であり、世帯全体で非課税になるためには、配偶者も一人暮らしの方と同じ「155万円の壁」をクリアしている必要があると理解しておくことが大切です。
住民税非課税で年金一人暮らしのポイント
この記事で解説した「住民税非課税で年金一人暮らし」を実現するための重要なポイントを以下にまとめます。ご自身の状況を確認する際のチェックリストとしてご活用ください。
- 65歳以上の一人暮らしの場合、年金収入155万円以下が住民税非課税の目安
- 65歳未満の一人暮らしの場合は年金収入105万円以下が目安
- 「155万円の壁」は公的年金等控除110万円と非課税限度所得45万円を合わせた金額
- お住まいの地域(級地区分)によって非課税限度額は異なるため自治体への確認が必須
- 住民税と所得税では非課税となる年収の上限が異なる
- 所得税は年金収入158万円以下であれば非課税となる
- 年金とパート収入がある場合は、それぞれの所得を合算して判断する
- 年金所得と給与所得の合計額が非課税限度額(45万円)以下になるよう調整が必要
- 給与所得控除(最低55万円)を考慮してパート収入の上限を計算する
- 障害年金や遺族年金は、それ自体が非課税収入である
- 障害者手帳を持つ方は、非課税となる所得の上限が135万円に緩和される
- 住民税非課税世帯になると、国民健康保険料や介護保険料の軽減措置を受けられる
- 非課税であっても社会保険料の支払いが完全になくなるわけではない
- 夫婦世帯の「211万円の壁」は、配偶者も非課税であることが条件
- 正確な情報は、必ずお住まいの市町村の税務課やウェブサイトで確認する

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